信州建築構造協会

公開セミナー|ASBS 信州建築構造協会|耐震診断は構造設計のプロ集団 ASBSへ

信州建築構造協会 9月例会のご案内

主催 信州建築構造協会
開催日 2026/09/18
講演内容
第一部
演 題「2026年 日本建築学会教育賞(教育貢献)受賞/
対話型構造計算ノートアプリ「MystructureNote」のご紹介」
15:00~15:45
株式会社構造計画研究所 
事業開発部 構造解析クラウドチーム 織田 奈奈美 様
構造設計部 構造デザイン室 三井 直紀 様
第二部
演 題「構造設計とサスティナブル」 環境とJSCA耐震性能認証について
16:00~17:30
株式会社日本設計 執行役員フェロー JSCA会長
小林 秀雄 様
会場

ホテルモンターニュ松本

長野県松本市巾上3-2 TEL:0263-35-6480

セミナーレポート

挨拶する大日方会長


信州建築構造協会9月例会
構造設計で脱炭素と耐震性両立


信州建築構造協会(大日方貞夫会長)は9月18日、松本市のホテルモンターニュ松本で9月例会を開催しました。当日は、日本設計執行役員フェローで日本建築構造技術者協会(JSCA)会長の小林秀雄氏を講師に迎え、「構造設計とサスティナブル」をテーマにご講演いただきました。二酸化炭素(CO2)排出削減と耐震性能、建物の長寿命化を一体的に考える、これからの構造設計について理解を深める機会となりました。


株式会社日本設計 執行役員フェロー 
JSCA会長小林秀雄氏による講演

小林氏は「構造設計者はある意味、建物のCO2を決める職能」と話し、これまで構造設計で重視されてきた安全性や使用性、経済性に加え、環境性能や災害後の機能維持・復旧についても考えていく必要があると説明しました。資材製造から建設、更新、解体までを対象とするライフサイクルカーボンの考え方が広がる中、構造躯体の材料選定や架構計画もCO2排出量に大きく関わることを紹介しました。

具体的な取り組みとして、高炉スラグなどを活用した低炭素コンクリートや、鉄スクラップを再利用する電炉鋼材を紹介。柱配置やスパン、部材断面の工夫によって材料使用量を削減する考え方のほか、条件に応じて基礎や地下躯体を再利用する方法についても説明がありました。

一方で、建設時のCO2排出量だけで建物の環境性能を考えるのではなく、耐震性や地震後の復旧まで含めた評価も重要だとしました。耐震性能を高めることで初期の材料使用量が増える場合があるものの、地震被害を抑えることで「修復に要するCO2が減る」と説明。建築物のライフサイクルカーボン算定ツール「J-CAT」を用いた試算では、耐震性能を高めた建物は建設時の排出量が増えても、地震後の補修まで含めることで排出量を抑えられる可能性が示されました。

建物の長寿命化については、その寿命を「物理的」「機能的」「社会的」の3つの視点から紹介。設備更新や用途変更にも対応できる構造計画を行うことが、建物を長く使い続けることにつながると説明しました。「なるべく解体せずに使っていきたい」と話し、既存建築物を長く活用していくことの大切さにも触れました。

このほか、構造躯体だけでなく、非構造部材や建築設備を含めて建物全体の耐震性能を4段階で評価する「JSCA耐震性能認証」も紹介されました。CO2排出削減、耐震性能向上、長寿命化、資源循環、レジリエンス向上など、今後の構造設計者に求められる幅広い視点について学ぶ講演となりました。


小林秀雄氏による講演

構造計算をその場で可視化
例会ではこのほか、構造計画研究所の織田奈奈美氏と三井直紀氏から、2026年日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞した対話型構造計算ノートアプリ「MystructureNote(マイストラクチャーノート)」をご紹介いただきました。
同アプリは、紙にスケッチするような感覚で構造モデルを作成し、荷重や部材条件を設定することで、応力や変形などをリアルタイムで確認できる「構造解析デジタルノート」です。複数案を容易に比較できるほか、構造データとともにメモや画像、検討過程をクラウド上に蓄積することもできます。


構造計画研究所による製品紹介

織田氏は、一般的な構造解析ソフトの代替ではなく「高機能な電卓」のように使うツールと説明。単純な計算を効率化することで、設計者が考え、試行錯誤する時間を確保することを狙いの一つとして紹介しました。
三井氏からは、実際の設計業務での活用事例について説明がありました。意匠設計者との打ち合わせ中に庇の構造形式を複数案解析し、その場で結果を共有しながら検討を進めた事例などを紹介。設計や施工の場面だけでなく、若手技術者の教育など幅広い活用が期待されるツールについて、参加者が理解を深めました。


構造計画研究所による製品紹介

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